Department of Epidemiology and Public Health,
Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University
久山町では、久山町・九州大学・地域開業医が連携して「ひさやま方式」とよばれる住民の健康管理を1961年から50年以上にわたり行っています(図1)※1。久山町の住民健診である生活習慣病予防健診はこの連携の根幹であり、表1のような特徴があります。この健診によって疾患が疑われた場合には、主治医でもある地元の開業医につなぎ、一次診療を行います。また、久山町の保健センターであるヘルスC&Cセンターに、九州大学の医師やスタッフが常駐しており、町の保健師や管理栄養士とともに町民の健康相談を実施しています。さらに久山町の各保健事業(糖尿病予防教室や健康講演会、認知症初期支援対策など)も久山町と九州大学のスタッフが連携して実施しています。
九州大学は、久山町と共同で町民の健康管理を行いながら、この生活習慣病予防健診のデータを活用した疫学研究(久山町研究)を実施しています。近年では、研究から得られた科学的根拠に基づいた町民の健康づくり活動を官学連携で展開しています。さらにその連携を強化・円滑にするため、平成25年度より「久山健康づくり委員会」を設置し、久山町の健康課題の抽出とその対策のための科学的根拠に基づいた保健事業の企画・立案を協議しています(図2)。
【引用文献】
※1 吉田大悟ら、保健師ジャーナル 2018;74(10):850-856
■ 久山町と九州大学が連携して実施する。 |
■ 医療保険の種類を問わず、40歳以上の全住民を対象にしている。 |
■ 特定健診受診率は毎年60%以上であり、継続受診率は80%以上である。また、5年に1度の包括的な健診(大健診)の受診率は70~80%である。 |
■ 検査項目は約20項目。 |
■ 【健診項目例】(平成29年度) |
■ 健診当日に血液検査を含むほぼすべての検査結果を返却する。 |
■ 九州大学医師による内科診察では、必要に応じて医療機関受診のための紹介状を発行する。 |
■ 健診の最後に久山町と九州大学の保健師が全員に保健指導を実施する。 |
■ 結果は本人の健康管理に役立てられることに加え、研究のデータとして活用される。 |
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衛生・公衆衛生学分野
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