環境調査(2015年)

平成27年度の久山町環境調査を受けられた方へ

九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野では、平成27年度に久山町環境調査(地域住民における血中ダイオキシン類濃度と疾病および疾病マーカーに関する疫学調査)で皆様にご協力いただいた調査成績と保存血清を使用させていただき、以下のような地域住民における非結核性抗酸菌感染の実態調査を行います。本調査は,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED):新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(研究代表者 国立感染症研究所ハンセン病研究センター感染制御部・室長・星野仁彦)の一環として行うもので、非結核性抗酸菌感染の実態解明と予防法を検討することを目的としております。趣旨をご理解の上ご協力の程、何卒宜しくお願い致します。

研究課題「地域住民における非結核性抗酸菌感染の実態解明」

1.久山町における疫学調査について

福岡県久山町と九州大学では、57年以上にわたり脳卒中・心疾患・がん・高血圧・糖尿病・認知症などの生活習慣病の原因究明と予防に努めてまいりました。また、2015年には、久山町一般住民において血中ダイオキシン類濃度を測定し、さまざまな疾病の有無や疾病マーカーとの関連を検討する目的で、「地域住民における血中ダイオキシン類濃度と疾病および疾病マーカーに関する疫学調査」を実施しました。今回の研究では、この調査の際に採取された保存血清を使用させていただき、地域住民における非結核性抗酸菌感染の実態を明らかにさせていただきたく存じます。
今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、2019年3月31日までですが、将来にわたって研究を継続する際には改めて倫理審査を受け、研究期間を延長する予定です。

2.研究の目的や意義について

非結核抗酸菌は、結核菌群およびらい菌を除いた約150種類の抗酸菌の総称です。非結核抗酸菌は、 水系(環境水、上水道)、土壌、動物の体内などの環境中に豊富に存在し、環境中の菌を取り込むことで、免疫機能低下者のみならず健常人においても肺や皮膚を中心に感染すると考えられています。この菌は、感染しても自覚症状が出にくいため、気づかないうちに、数年~十数年かけて病気が緩徐に進行するのが一般的です。なお、人から人への感染は起こしにくいため、 患者の隔離は不要です。
近年、わが国においても非結核抗酸菌感染症の増加が予測されていますが、自覚症状に乏しい非結核抗酸菌感染症の実態は十分に検討されていません。そこで、本研究では、福岡県久山町の地域住民において、血清中の非結核抗酸菌感染症に対する抗体を測定することで、非結核抗酸菌感染症感染の実態を明らかにすることを目指しています。

3.研究の対象者について

「地域住民における血中ダイオキシン類濃度と疾病および疾病マーカーに関する疫学調査」に参加された495名を対象とします。研究の対象者となることを希望されない方(またはご家族など代理人の方)は、研究事務局までご連絡ください。

4.研究の方法について

1) この研究では、平成27年10月23日~11月29日に実施した「地域住民における血中ダイオキシン類濃度と疾病および疾病マーカーに関する疫学調査」(許可番号 26-280, 27-50, 27-254:許可期間 平成27年2月12日~平成31年3月31日)の際に得られた臨床情報と保存血清を使用させていただきます。なお、新たに採血や検査を行うことはありません。
2)

今回の研究で使用させていただく臨床情報は下記の通りです。(使用する臨床情報)

① 年齢、性別

② 自覚症状

③ 既往歴・現病歴・生活歴(服薬状況、喫煙・飲酒歴、運動習慣、妊娠、出産歴)

④ 身体所見:身長、体重、BMI、体脂肪率、栄養状態、血圧、脈拍、心音、呼吸音、肝脾腫、浮腫、リンパ節腫大、四肢腱反射、感覚障害

⑤ 胸部X線所見

⑥ 心電図

⑦ 尿所見:尿蛋白、尿糖、尿潜

⑧ 血計:白血球数、赤血球数、血色素量、ヘマトクリット、血小板数

⑨ 血液生化学検査:総蛋白、アルブミン、CPK、AST、ALT、LDH、ALP、γ-GTP、総ビリルビン、コリンエステラーゼ 、アミラーゼ、血糖、HbA1C、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、Na、K、Ca、無機リン

⑩ 免疫学的・ホルモン学的検査:CRP、HBs抗原、HCV抗体、SpA、SpD、抗核抗体、リウマチ因子、SSA抗体、SSB抗体、抗CCP抗体、MMP-3、抗トポイソメラーゼ1抗体、抗セントロメア抗体、甲状腺刺激ホルモン、トリヨードサイロニン、サイロキシン、Free-T4、抗TSH レセプター抗体

3) 平成27年度に凍結保存させていただいた血清(100μl)は、大阪市立大学大学院医学研究科細菌学へ郵送し、酵素結合免疫吸着法(ELISA)という方法を用いて血清中の非結核抗酸菌の特異的抗体価を測定します。なお、他機関へ保存血清の送付を希望されない場合は、送付を停止いたしますので、ご連絡ください。
4) 非結核抗酸菌の特異的抗体価の測定結果は、セキュリティーの高いファイル送付システムを用いて大阪市立大学大学院医学研究科細菌学から九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野へ送付され、測定結果と臨床情報の関係性を分析し、非結核抗酸菌感染症の実態および危険因子を明らかにします。
5) 研究解析結果の解釈・活用について、国立感染症研究所ハンセン病研究センター感染制御部の研究者との討議を行う。
他施設との保存結成および測定結果のやり取りについて

5.個人情報の取扱いについて

研究対象者の血清や測定結果、臨床情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います(匿名化)。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、久山町ヘルスC&Cセンター内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。

研究対象者の血清や測定結果、臨床情報を他の共同研究機関へ送付する際には、九州大学にて匿名化を実施した後に行いますので、研究対象者を特定できる情報が外部に送られることはありません。また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。

この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野・教授・二宮利治の責任の下、厳重な管理を行います。

6.試料や情報の保管等について

【試料について】
平成27年度に実施した「地域住民における血中ダイオキシン類濃度と疾病および疾病マーカーに関する疫学調査」の際に得られた対象者の血清・情報等は、本研究が終了となる場合には、研究責任者(九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野・教授・二宮利治)の責任の下、試料は5年間、情報は10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

本研究で得られた研究対象者の血清、測定結果、情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

7.研究に関する情報や個人情報の開示について

この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

8.研究の実施体制について

この研究は以下の体制で実施します。

研究実施場所
(分野名等)
九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野
研究責任者 九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野 教授 二宮 利治
研究分担者 九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野 准教授 秦 淳
九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野 助教 吉田 大悟
九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野 助教 本田 貴紀
施設名/研究責任者の職名・氏名 役割
共同研究施設及び試料・情報の提供のみ行う施設

① 国立感染症研究所ハンセン病研究センター感染制御部/室長・星野仁彦

総括

② 大阪市立大学大学院医学研究科細菌学/講師・仁木満美子

血清抗体価の測定
事務局
(相談窓口)
担当者:九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野 教授 二宮 利治
連絡先:【TEL】092-642-6151【FAX】092-642-4854
メールアドレス:info_eph@eph.med.kyushu-u.ac.jp

九州大学大学院 医学研究院

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〒812-8582
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